排水処理・省エネ・脱炭素のお役立ち情報を提供する「エイブルブログ」。
今回から2回シリーズで、排水処理設備の省エネ・CO2削減対策を取り上げます。
第1回のテーマは「電気」。
排水処理設備の消費電力に関わる5つの代表的な省エネ対策を、削減効果の大きさとあわせて解説します。
第2回では「熱」に関する省エネ対策を解説予定です。
なぜ今、排水処理設備の電気代に注目すべきか
電気料金の高騰やGX(グリーントランスフォーメーション)推進の流れを受けて、工場の省エネ対策は待ったなしの経営課題になっています。
排水処理設備は24時間365日連続稼働することが多く、工場全体の電力使用量の中でも無視できない比重を占めています。
しかし「どこから手をつければよいか分からない」という声もよく聞きます。
そこでまずは、排水処理設備における電気の省エネ対策を優先度順に整理しました。
排水処理設備の電気省エネ対策 優先度一覧
| 優先度 | 対策 | 削減効果の大きさ |
|---|---|---|
| 1 | 送風機(曝気ブロワ)の省エネ運転 | |
| 2 | 送風量の削減 | |
| 3 | 主ポンプの運転改善 | |
| 4 | 撹拌機の間欠運転 | |
| 5 | エアリフトポンプの活用 |
以下、それぞれの対策の内容と、代表的なメーカー製品を紹介します。
優先度1|送風機(曝気ブロワ)の省エネ運転
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活性汚泥法などの好気性処理では、微生物に酸素を供給する曝気ブロワが、排水処理設備全体の消費電力の中でも最大の割合を占めるとされています。
水質・水量が変動しているにもかかわらず一定風量で運転され続けているケースが多く、ここに最も大きな省エネの余地があります。
ポンプやブロワなどの流体機器は、回転数(風量)のおおむね2〜3乗に比例して消費電力が増減するため、DO(溶存酸素)計や流入水量と連動したインバータ制御・台数制御によって、必要な風量だけを送る運転に切り替えるだけで大きな節電効果が期待できます。
老朽化した設備の更新タイミングでは、空気軸受式のターボブロワへの切り替えも有効です。
オイルフリー・低振動・低騒音に加え、内蔵インバータで必要風量のみを送風するため、電気代とメンテナンス費用の両面で効果が見込めます。
なお、ターボブロワなど高効率設備への更新にあたっては、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が運営する「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」の活用も検討したい制度です。
SIIがあらかじめ登録・公表した高効率な「指定設備」への更新費用の一部が補助される仕組みで、対象となる産業用モータ等を用いたブロワ更新であれば申請できる場合があります。
SII 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型):https://syouenehojyokin.sii.or.jp/
- 新明和工業「ターボブロアTurboMAX」(排水処理・ばっ気用ブロア 省エネ・省メンテナンス・低騒音・省スペースを実現)
https://www.shinmaywa.co.jp/products/pump/introduction/blow/ - 東浜工業(TOHINグループ)「TOHIN TX ターボブロワ」(空気軸受式・可変速単段ブロワ、年間約200万円のコストダウン実績あり)
https://www.tohin.co.jp/products/turbo-blower/
優先度2|送風量の削減
曝気ブロワの運転効率を高めるだけでなく、そもそも必要な送風量そのものを減らすという視点も有効な省エネ対策です。
主な方法は次の3つです。
①低送風量の処理装置導入:エイブル製「回転児雷也」
活性汚泥法に比べて必要な送風量そのものを抑えられる処理方式に切り替える方法もあります。
エイブルの固定生物膜式連続洗浄型排水処理装置「回転児雷也」は、槽内に高性能担体を充填して微生物を効率よく保持することで、活性汚泥法の5〜10倍の処理能力を発揮する装置です。
既存の活性汚泥設備に追設することで、送風量を抑えながら処理能力を高めることも可能です。

②微細気泡散気管の活用
活性汚泥法を継続する場合でも、散気装置を微細気泡タイプに切り替えることで送風量を抑えられます。
曝気槽に送り込まれた酸素のうち、実際に水中へ溶け込んで微生物に利用されるのはごく一部で、大部分が未溶解のまま大気中へ放出されているといわれています。
気泡を微細化して水との接触面積を増やすことで酸素溶解効率を高め、同じ酸素供給量であればブロワの送風量・消費電力を抑えることができます。
- EDI JAPAN株式会社「散気装置 FlexAir 排水処理の省エネに貢献 「FlexAir」は、排水処理などの散気装置として、米国をはじめ世界中で幅広く使用されているメンブレンタイプ微細気泡散気装置
https://www.edijapan.co.jp/diffuser - 美鈴工業 「水処理・排水処理の効率を変えるハイパフォーマンス散気管 高い酸素溶解効率、目詰まりしにくい構造、耐薬品性・耐久性を兼ね備え、ランニングコストと処理性能の両立を実現
https://www.misuzu-industry.co.jp/air/
③嫌気性排水処理装置でブロアレス・バイオガス発電:エイブル製「とくとくーぶぶぶ」
高濃度排水であれば、そもそも曝気(送風)を必要としない嫌気性処理への切り替えも選択肢です。
エイブルのメタン発酵排水処理システム「とくとくーぶぶぶ」は、嫌気性微生物によって排水中の有機物を分解し、発生したバイオガス(メタンガス)を燃料として自家発電に活用できるシステムです。
ブロワを使わない処理方式のため送風にかかる電力そのものが不要になるうえ、発電による創エネ効果も見込めます。

優先度3|主ポンプの運転改善
流入ポンプや移送ポンプなど「主ポンプ」も、バルブを絞って流量調整しているケースでは電力の無駄が生じやすい設備です。
バルブによる流量調整は配管抵抗(圧力損失)を増加させるため、インバータによる回転数制御に切り替えることで、必要な水量を確保しながら消費電力を抑えられます。
近年は、高効率モータとインバータを一体化した製品も登場しており、既設ポンプと同じ取合いで交換できるものもあります。
電気代高騰の状況下では、数年単位で更新コストを回収できる試算例も報告されています。
また、老朽更新のタイミングでは、古いポンプをそのまま同型のポンプに交換するのではなく、高効率モータを搭載したポンプへ更新することも有効な選択肢です。
更新のついでに省エネ化まで一度に進められるため、効率的にコスト削減を図れます。
- 荏原製作所「インバータ内蔵PMモータ搭載ポンプ」(IE5相当の高効率モータを内蔵)
https://ebara.com/jp-ja/support/afterservice-standard-pump/energy_saving/ - 鶴見製作所「高効率水中モータポンプ」(水中モータの高効率化により最大26%の省エネルギー化を実現(当社標準タイプ比))
https://www.tsurumipump.co.jp/products/water-treatment/
優先度4|撹拌機の間欠運転
凝集撹拌槽などで使用する撹拌機は、常時フル稼働させなくても、ポンプ連動運転で水質を維持できるケースがあります。
近年は、撹拌に要する動力そのものを抑える省エネ型撹拌機も普及しています。
低負荷運転時にインペラを昇降させて動力を下げる機構や、大直径プロペラを低速回転させることで低動力化を図る機種など、槽の形状や用途に応じた選定がポイントです。
- トーケミ「撹拌機」(中速・低速・可変速・可搬形・竪形と豊富なラインナップで、現場条件に応じた選定が可能)
https://www.tohkemy.co.jp/products_cat/mixers_tank/ - タクミナ「撹拌機器」(立型・可搬型・横型の3タイプから選べるオーダーメイド対応の撹拌機)
https://www.tacmina.co.jp/products/agitator
優先度5|エアリフトポンプの活用
活性汚泥法では、沈殿槽から曝気槽へ汚泥を戻す返送汚泥ラインに「エアリフトポンプ」を用いる方法があります。
垂直に設置した揚水管の中に空気を吹き込むことで、気泡を含んで見かけの比重が軽くなった液体が、内外の比重差によって押し上げられる仕組みです。
可動部を持たないためポンプ本体の駆動用モータが不要で、故障しにくくメンテナンスの手間も少ないのが特長です。
曝気用ブロワの空気を活用できる場合は、返送汚泥ポンプ専用の動力を新たに持つ必要がなく、電力面でもメリットが見込めます。
- 配管で構成するためメーカーは特になく、排水処理施工業者が現地で製作します。
省エネ対策を進める際の進め方
いきなり大規模な設備更新を検討するのではなく、まずは排水処理装置業者に相談し、現状の電力使用量・風量・水質データを可視化することが第一歩です。
その上で、
- 短期的にできる対策(運転条件の見直し、間欠運転化)
- 中期的な更新計画(優先度の高い設備からのインバータ・機器更新)
- 投資回収年数の試算・補助金活用の検討
という順番で優先順位をつけていくと、無理なく省エネを進めやすくなります。
省エネ・省CO2設備の導入には国の補助金が活用できる場合もあるため、更新を検討するタイミングでは補助金情報も併せて確認することをおすすめします。
よくある質問
- 5つの対策のうち、どれから着手すべきですか?
-
一般的に曝気ブロワの省エネ運転が最も削減効果が大きいとされていますが、設備の稼働状況によって優先順位は変わります。
まずは排水処理装置業者への相談で現状を把握することをおすすめします。 - インバータ導入だけでも効果はありますか?
-
既設のブロワやポンプにインバータを後付けするだけでも、負荷に応じた運転が可能になり、一定の節電効果が期待できます。
- 設備更新と補助金は同時に検討できますか?
-
はい。省エネ設備の更新は補助金の対象となる場合が多く、更新計画と合わせて補助金活用を検討することで投資回収を早められる可能性があります。
まとめ
- 排水処理設備の電気省エネは、曝気ブロワ・送風量削減・主ポンプ・撹拌機・エアリフトポンプの5つが代表的な対策ポイント
- 削減効果が大きいのは曝気ブロワの省エネ運転だが、複数の対策を組み合わせることでさらに効果を高められる
- 更新のタイミングでは、高効率な代表機種の導入や補助金活用もあわせて検討したい
次回は「熱」に関する省エネ対策として、排水の熱回収やボイラーの効率化などについて解説します。ぜひあわせてご覧ください。
排水処理の省エネ設計・施工なら、総合排水処理メーカーのエイブルへ
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今回ご紹介したブロワ・ポンプ・撹拌機などの省エネ設備は、メーカーによって特徴や得意分野が異なり、「どの設備をどう組み合わせるか」の設計力が効果を大きく左右します。
株式会社エイブルは、排水処理設備の設計・施工・管理を一気通貫で手掛ける総合排水処理メーカーです。
特定メーカーの製品だけにとらわれず、各社の省エネ設備を組み合わせた設計・施工に対応できるのが強みです。
他社が施工した既設の排水処理装置についても、改造・更新・省エネ化のご相談を承っております。
「今の設備が省エネ化できるか分からない」「どのメーカーの設備が自社に合うか知りたい」といったお悩みも、まずはお気軽にご相談ください。
排水処理設備のCO2削減・省エネ・能力不足・更新でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
製品カタログ・技術資料・導入事例など、まずは資料請求も可能です。


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