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メタンガス発電は「FIT売電」か「自家消費」か?
~35円FIT時代に考える、嫌気性排水処理設備の最適解~
食品工場や飲料工場、化学メーカーなどで導入されている嫌気性排水処理設備。
この設備では、排水中の有機物を微生物が分解する際に 「メタン発酵ガス(バイオガス)」 が発生します。近年、このガスを利用した発電設備導入が注目されています。
発電設備を導入する際、多くの企業が悩むのが、
- FIT(固定価格買取制度)による売電
- 補助金を活用した自家消費型の自社所有
のどちらが有利かという点です。
2026年以降、メタン発酵ガス(バイオマス)のFIT価格は 35円/kWh水準 とされる一方、一般的な工場の電力従量単価は 23円/kWh前後 で推移しています。
単純比較では「35円で売れるならFITが有利」と見えますが、実際にはそれほど単純ではありません。

FITモデルの特徴
FITは、発電した電力を固定価格で長期間買い取ってもらえる制度です。
例えば年間100万kWh発電できる設備の場合、
- 売電単価:35円/kWh
- 年間売電量:100万kWh
とすると、
年間売電収入は約3,500万円
となります。
収益予測が立てやすく、金融機関からの融資を受けやすい点が大きなメリットです。
また、エネルギー事業として独立採算化しやすく、設備投資判断がしやすいという特徴があります。
しかし、FITには以下のような課題もあります。
- 系統連系制約
- FIT認定・報告業務
- 長期固定契約による柔軟性低下
- 発電した電力を自社利用できないケース
- CO2削減効果を自社で得られない
特に近年は、工場電力価格の上昇によって 「売るより使う方が得」 という考え方も強まっています。
自家消費モデルの特徴
一方、自家消費型では、補助金を活用して設備を導入し、発電電力を工場内で利用します。
仮に同じ100万kWhを自家消費した場合、
- 電力削減効果:23円/kWh
- 年間削減量:100万kWh
となり、
年間電力コスト削減額は約2,300万円
となります。
金額だけ見るとFITより低く見えます。
しかし、自家消費モデルでは 補助金活用 が大きなポイントになります。
例えば設備投資額が2億円の場合、
- FIT型:補助金なし → 投資額2億円
- 自家消費型:補助率1/2 → 実質負担1億円
というケースもあります。
この場合、単純投資回収年数は、
- FIT型:約5.7年
- 自家消費型:約4.3年
となり、むしろ自家消費型の方が投資効率が高くなる可能性があります。
環境性の違いも重要
さらに近年は、「経済性」だけでなく「環境価値」 の重要性が急速に高まっています。
FIT売電では、再エネ価値は基本的に電力購入側へ移転します。
つまり、自社のCO2削減効果として活用しづらい側面があります。
一方、自家消費型では、
- Scope2削減
- カーボンニュートラル推進
- CDP回答
- SBT対応
- GX・脱炭素経営PR
などへ直接活用できます。
例えば、電力排出係数を0.45kg-CO2/kWhとすると、100万kWhの自家消費で、
年間約450t-CO2削減
が期待できます。
これは、単なる省エネ設備ではなく、「脱炭素経営インフラ」 としての価値を持つことを意味します。
これからの選択肢は?
もちろん、FITが不利というわけではありません。
ガス発生量が大きく、安定運転できる施設では、FITによる高収益モデルが成立するケースもあります。
しかし近年は、
- 電力価格上昇
- GX推進
- ESG要求強化
- カーボンプライシング拡大
などを背景に、「売電」から「自家利用」へ考え方が変わりつつあります。
特に工場を持つ企業では、メタンガス発電を単独設備としてではなく、
- 排水処理
- 省エネ
- CO2削減
- BCP対策
- エネルギー自立
を同時に実現する“経営インフラ”として捉える視点が重要です。
嫌気性排水処理設備から生まれるメタンガスは、もはや単なる副産物ではありません。
今後は、「いくらで売れるか」だけではなく、「どう使えば企業価値を高められるか」 が、設備導入判断の大きなポイントになるでしょう。
経済性・環境性比較シミュレーション(年間100万kWh発電想定)
| 項目 | FIT売電モデル | 補助金活用・自家消費モデル |
|---|---|---|
| 発電方式 | メタン発酵ガス発電 | メタン発酵ガス発電 |
| 想定年間発電量 | 1,000,000 kWh | 1,000,000 kWh |
| 電力単価 | FIT単価 35円/kWh | 電力削減単価 23円/kWh |
| 年間経済効果 | 3,500万円/年 | 2,300万円/年 |
| 想定設備投資額 | 2億円 | 2億円 |
| 補助金 | なし | 1/2補助想定 |
| 実質投資負担 | 2億円 | 1億円 |
| 単純投資回収年数 | 約5.7年 | 約4.3年 |
| 再エネ価値 | 売電側へ帰属 | 自社で活用可能 |
| Scope2削減効果 | 無し | 大きい |
| CO2削減量(参考) | ― | 約450t-CO2/年 |
| 脱炭素経営への活用 | △ | ◎ |
| CDP・SBT対応 | △ | ◎ |
| エネルギー自立性 | △ | ◎ |
| 将来的な拡張性 | 固定的 | 柔軟に対応可能 |
シミュレーション前提条件
- メタン発酵ガス(バイオマス)FIT価格:35円/kWh(2026年想定)
- 工場電力従量単価:23円/kWh
- 年間発電量:100万kWh
- 電力排出係数:0.45kg-CO2/kWh
- 補助金:設備費の1/2を想定
- 投資回収は単純回収で試算

ポイント
FITモデルは 「安定収益」 が魅力である一方、自家消費モデルは補助金活用により投資効率を高めつつ、CO2削減価値を自社に取り込める点 が大きな特徴です。
特に今後は、電力価格上昇やGX対応を背景に、“売電収益最大化”よりも、“エネルギーコスト削減+脱炭素価値創出”を重視する流れ が強まると考えられます。
エイブルの排水嫌気発酵方式の下記製品は、脱炭素やサーキュラーエコノミーのニーズ拡大で多くの引き合いをいただいています。
FITモデル・自家消費モデル双方のご提案をさせていただきますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。









