高速沈殿装置とは?仕組み・原理・特長をわかりやすく解説

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■ 高速沈殿装置とは?

高速沈殿装置とは、傾斜板(ラメラ板)を用いることで沈降距離を短縮し、沈殿効率を大幅に向上させる装置です。

汚泥の沈降ゾーンと、間隙水(上澄み水)の上昇ゾーンを分離することで、従来の沈殿槽と比べて効率よく分離処理を行うことが可能になります。

活性汚泥処理や凝集沈殿処理において、既存の設置スペースをそのまま活用しながら、低コストで処理能力を向上させることができます。


■ 原理①:沈降距離の短縮

通常の沈殿槽では、懸濁粒子は「L」の距離を沈降する必要があります。しかし、傾斜板を設けることで沈降距離を「L’」まで短縮することが可能となります。

傾斜板の条件を以下とすると、

  • 間隔:P
  • 傾斜角:θ
  • 長さ:H

沈殿促進倍率は以下のように表されます。

L/L’ = H × cosθ / P

つまり、傾斜板の設置により、沈殿速度を大幅に向上させることができます。
なお、分離方法には以下の特徴があります。

  • 加圧浮上法:軽い粒子(油脂・凝集汚泥など)に有効
  • 沈殿法:重い粒子(土砂など)に有効

粒子の分離速度は加圧浮上法の方が速いため、浮上可能な場合は加圧浮上法が有利となるケースもあります。


■ 原理②:流れの分離による効率向上

通常の沈殿槽では、沈降する粒子の間を水が上昇するため、乱流が発生しやすく、沈殿効率が低下する原因となります。
一方、傾斜板沈殿槽では、

  • 粒子が沈降するゾーン
  • 水が上昇するゾーン

が明確に分離されるため、乱流の発生を抑え、効率的な沈殿が可能になります。


■ 特長

高速沈殿装置には、以下のような特長があります。

  • 既存の活性汚泥・凝集沈殿設備に後付け可能
  • 傾斜板の設置により沈降速度は約2~3倍に向上
  • 薬品を使用しないためランニングコストが低い
  • 角形・円形など、さまざまな沈殿槽に対応可能

■ まとめ

高速沈殿装置は、既存設備を活かしながら低コストで処理能力を向上できる有効な技術です。
特に、

  • 処理能力を増強したい
  • 設備増設スペースが限られている
  • ランニングコストを抑えたい

といった課題に対して、有効なソリューションとなります。

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